タイ、バンコク(2023年12月6日)-アジア開発銀行(ADB)は、エナジー・アブソリュート(Energy Absolute Public Company Limited: EA)に対するEVバス1,200台を購入するための39億タイバーツ(約1億1,000万ドル)の融資契約に署名した。このEVバスの導入により、バンコクの内燃エンジンを搭載したバスに代わるクリーンな公共交通機関の利用が促進される。
ADBを主幹事とするこの融資パッケージでは、ADB、国際協力機構(JICA)、タイ輸出入銀行(EXIM Thailand)からそれぞれ13億タイバーツずつの融資が提供され、国内外の民間資本も動員される。プロジェクトの総額は最大で60億タイバーツになる。さらに、アセアン・カタリティック・グリーンファイナンス・ファシリティ(ACGF)から、公共交通機関における電気バスの市場調査に対して技術協力を提供する。
このEVバスプロジェクトは、タイ・スマイル・バス・カンパニー(Thai Smile Bus Company Limited)とその子会社の公共交通サービスを補完し、バンコクの全公共バス路線のほぼ半数にあたる123路線を網羅する。
スザンヌ・ガブリADB民間部門業務局長は、「このプロジェクトによって騒音や大気汚染、さらには温室効果ガスの排出が削減される。これは、タイにおける最初のEVバスに対する大規模な融資イニシアティブの一つであり、アジア・太平洋地域の他の公共交通システムにおいても、環境への配慮を進める方法としての可能性を示している」とした上で、「ADBは長年のパートナーであるEAと協力して、気候変動対策のための資金を動員し、EVバスの導入を促進し、効率的で環境に優しい、より快適な通勤手段を提供する」と述べた。
タイで生産されるEVバスの資材は、EV用バッテリーを含めて40%以上が地元で調達される。このプロジェクトは、EVバスを優先的な選択肢に加えタイの移動・輸送手段を多様化し、同時にEV産業の発展に寄与し、タイの気候目標に大きく貢献する。
EAのアモーン・サップタウィークン(Amorn Sapthaweekul)Deputy CEOは、「私たちは、既存の業務の強化とADB、JICA、EXIM Thailandのサポートを受けつつ、新しいビジネス領域の拡大に力を注いでいる。私たちの目標は、タイのクリーンエネルギーの革新的企業として、エネルギーの効果的な管理およびEA におけるEVエコシステムの開発の全ての側面を網羅することである」とした上で、「これを実現するためには、先進的で環境に優しい技術を活用し、すべての人々の利益のために、そしてパートナーたちの信頼と共同出資を通じて成し遂げていく」と述べた。
EAの再生可能エネルギー、グリーン・トランスポート、Eモビリティに対する注力は、ADBが重点を置く開発の優先課題に沿ったものである。ADBはEAと協力して、公共交通機関における女性の安全性に対する配慮も向上させ、職員のジェンダー平等に対する意識を高めるためのジェンダー行動計画を策定している。
EAは2006年に設立されたタイ最大の再生可能エネルギー企業の一つで、太陽光発電所4基と風力発電所8基のプロジェクトを運営している。EAはエネルギー部門を中心に64の子会社を抱え、国内では持続可能な輸送、Eモビリティ、EV充電インフラへの展開をリードし、事業の拡大を進めている。ADBはEA初の2019年のグリーンボンド発行、2020年の初の認定グリーンローン融資、そして2022年の電動フェリーへの融資に参加している。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。